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スペイン映画「デビルズ・バックボーン」 蝿が魂を運ぶ

デビルズ・バックボーン スペシャル・エディション
デビルズ・バックボーン スペシャル・エディション

「パンズ・ラビリンス」が公開されたせいか、シネフィル・イマジカでこの「デビルズ・バックボーン」が放映されました。同じデルトロ監督の撮影で、同じスペインの内戦時代を舞台とした映画です。というわけで早速録画。

パンズ・ラビリンスは「絶対見る!」と思っていた映画だったんですが、いい予習になりました。

ホラーに分類されていますがホラーではないと思います。子供の目から内戦をみつめた映画であり、少年の成長映画でもあります。画面に映るのはスペインのどこまでも青い空と黄色い草原。そして子供達。彼らの目線はまっすぐです。子供達の捉え方、表現の仕方が秀逸でした。
主人公のカルロスが預けられる孤児院は、荒野の中にぽつんと立っています。その中にはいじめっ子もいれば、親しみやすい子供もいる。子供から見れば恐ろしいけれど、視聴者から見れば悩みや恐れを抱える一人の女性である院長先生、頭が良く子供が好きで、ちょっとロマンチストな年老いた医者。この人の院長先生への気持ちは切なかった。孤児院で育ち、今もここで働きながら虎視眈々と隠し財産の金塊を狙うハチント。そんな彼や町の生活に憧れる若い女性コンチータ。

最後の最後までハチントには感情移入できませんでしたが、これはおそらく意図的なものだろうと思います。彼に感情移入してはならないのです。最後、カルロスや他の少年達が一致団結して彼を倒すシーンで「よくやった!」と言えなくなってしまいますから。
というか、私自身が途中から「これハチントが逃げ延びてしてやったり、なオチだけは絶対やめてくれ」と思いながら見ていたせいもあるんですが。ハリウッド物だと子供が悲惨な死に方をすることはあまりないのですが、これはスペイン映画。爆発で院長先生やもう一人いた先生は死亡し、医者は大怪我を負い、何人もの子供達が死亡し傷つき、助けを呼びに行ったコンチータは殺されてしまいます(ハリウッド映画では、あんな風に子供の死体を累々と見せるのはまずやりません)

映画のラストはとても悲しいです。ハチントを倒した後、カルロスを含む少年達は孤児院を出て行きます。青い空の下、黄色い草原の中を伸びる道を、助け合いながら歩いていきます。でも、おそらく彼らの行く先に救いはないのです。ここは人里から離れていて、車でなければ行き来は難しい、と言われるようなところです(それに関する描写は何度も出てくる)怪我人を抱えた子供達が、助けてくれる人達のいるところまで辿り着けたとは考えにくいのです。彼らを待っているものは、きっと……。
「その先の幸せが見えないハッピーエンド。アンハッピーエンドの予感に満ちたハッピーエンド」
これは以前、ルイス・ブニュエルやペドロ・アルモドバルの映画を評した文章の中に出てきた言葉です。ラテンのお家芸とも言われていました。デルトロはおそらく、そのお家芸に従ったのでしょう。この先に幸せを見出すことは私にはできません。

スペインで生まれたブニュエルは、メキシコに渡り多くの映画を撮りました。今、メキシコで生まれたデルトロは、スペインで撮ったのがこの映画です。

<脚を折ってしまった少年を助けたのは?>
窓から飛び降り脚を折ったた少年は、助けてくれたのは医者だと語ります。ですがこの時医者は死亡しています。では彼を助けたのは?
おそらく、医者の魂が彼を救ったのだと思います。死亡した医者の頬を飛んでいた数匹の蝿。そして脚を折った彼の近くにも蝿が飛んでいました。あの蝿が彼の魂を運んだのでしょう。羽根を持ち空を飛ぶものは、死者の魂を運ぶと考えられていました。ダーク・ハーフで登場したスズメ達はその象徴です。多くは鳥ですが、虫を愛するデルトロはその役目を蝿に背負わせたのでしょう。
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映画「キングダム 見えざる敵」 見知らぬ存在を憎むのはたやすい

The Kingdom [Original Motion Picture Soundtrack]
The Kingdom [Original Motion Picture Soundtrack]
Danny Elfman,Pete Anthony,Hollywood Studio Symphony

試写会が当たりましたので「キングダム 見えざる敵」を見に行って来ました。場所は以前RENTを見に行った東京厚生年金会館なんですが、ここって音響が良すぎるんですよね……。前もそうでしたが、今回も終わった頃は耳が痛かったです。銃バリバリ撃ちまくり、爆発シーン多数の映画だったからなあ。

ちなみに応募していた理由はガーナーが出ていたからという割と単純なもので、実はこの映画についてはあまり知らなかったんですが、キャストを確認してちょっとびっくりしました。エイリアスのジェニファー・ガーナーが出ていたのは先に書きましたが、SFUでナサニエルを演じている、リチャード・ジェンキンス氏がFBI長官役で出ていました。また、アメリカン・ビューティーでフィッツ大佐を、カポーティでデューイ捜査官を演じたクリス・クーパーや、今年のエミーを受賞した、アントラージュのジェレミー・ピヴンも出ていました(アントラージュは見てないんですが)そもそも主演はオスカー男優のジェイミー・フォックスですし。また、サウジサイドの人間としては、ゴールデン・グローブを受賞した映画「パラダイス・ナウ」から、アシュラフ・バルフムとアリ・スリマンが出ています。
そして監督のピーター・バーグは海外ドラマ「シカゴ・ホープ」でクロンクを演じていた俳優さんです。いつの間にか監督業をこなすようになっていて、今年のエミーの監督賞にもノミネートされていました(受賞はできませんでしたが)シカゴ・ホープ放映時、クロンクがお気に入りだった私としては、彼のこの先をちょっと応援したくなりますね。


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映画「デッドマン・ウォーキング」

デッドマン・ウォーキング
デッドマン・ウォーキング

AXNで放映されていたので見てみました。スーザン・サランドンがアカデミー主演女優賞を受賞、共演のショーン・ペンも主演男優賞にノミネートされた作品です(その語彼は、ミスティック・リバーで主演男優賞を取りました。その時の助演はこの映画の監督ティム・ロビンス。調べていて知ったんですが、ショーン・ペンって「刑事コロンボ/別れのワイン」を撮ったレオ・ペンの息子だったんですね)

実話を題材にしており、殺人を犯した死刑囚と彼に関わった人の物語、という点で、去年見に行った「カポーティ」と、ちょっと似た印象を受けます。ですが中心の視線となるシスター・ヘレンとカポーティが全く違うタイプの人間なので、最終的な印象はすっかり変わってしまいます。見ていてシスター・ヘレンはずっと、このようなことに対して耐える力があるのだろうなと思いました。カポーティが繊細で壊れやすく、ペリーの死を目の当たりにして「何か」を失ったのに違い、シスター・ヘレンはマシューと向き合うことで「何か」を得ます。映画で描かれるのはマシュー一人ですが、実在のヘレンはもっと多くの死刑囚と向き合いました。
それにしても、両方とも犯罪に動機らしい動機が無い、というのが見ていてちょっと辛いです。今はよく起こりうる犯罪になってしまっていますが。

この映画は基本的に死刑反対の立場で作られているのですが、主張を声高に叫ぶことをせず、淡々と物語を語るに留めています。声高に叫ぶのと比べると、静かに主張することはずっと難しいこと。それに徹しきれた監督には拍手を送りたいです。

ただ日本人の視聴者には、ヘレンが話題に出す「信仰心」が理解できないのではという気もします。ヘレンのような人にとって、信仰がどれだけ支えになるのか、それがわかるかわからないかで、この映画の理解度は変わって来るでしょう。
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フランス映画「チャーリーとパパの飛行機」 物にも魂が宿る

シネ・リーブル池袋まで、「チャーリーとパパの飛行機」を見に行って来ました。シネ・リーブル池袋は池袋東武百貨店に入っている小さな映画館なんですが、このフロアと下のフロアは飲食店街になっていまして、幾つかのお店で食事をする際にチケットを見せると、ドリンクサービスが受けられたりします。地味だけどこういうのは結構好きかも。

考えてみればフランスの家族向け映画って、見るの初めてかも。……いや、フランス映画自体そんなに見てないか。どっちかっていうと、私の好みはイギリス映画の方です。
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映画「ミリキタニの猫」 不思議なめぐりあわせ

ピース・キャッツ 「ミリキタニの猫」画文集
ピース・キャッツ 「ミリキタニの猫」画文集

先週は「夕凪の街 桜の国」を見に行って来ましたが、今週は首尾よく試写会が当たりましたので、
ミリキタニの猫」を見に行って来ました。それにしても暑かった……。
別に調整したわけではないのですが、「夕凪の街 桜の国」は原爆がテーマでした。そして「ミリキタニの猫」も、その中で原爆が重要な意味を持ちます。この映画の主人公であるミリキタニの母方の実家は広島にあり、原爆投下で彼の母親の家族は全滅してしまいました。

ミリキタニはニューヨークの路上でホームレス生活を送っており、猫に餌をあげたり猫の絵を描いたりしていました。施しは受けず、絵を買ってもらうのだそうです。そんな彼の前で足を止めたのは、若い映像作家のリンダ・ハッテンドーフ。猫好きの彼女は猫の絵を描く老人に興味を持ち、彼の映像を撮り始めます。
彼は絵を描きながら、自分の若い頃の話を語ります。第二次世界大戦の時、ツールレークの日本人収容所に入れられたこと。そこでの生活のことを。祖父が孫に語るように。
ハッテンドーフが彼と出会ってから、半年以上が過ぎ、八月六日がめぐってきました。彼女の前でミリキタニは原爆の絵を描きながら、広島に住んでいた母の家族が原爆投下で死亡したことを語ります。

このまま普通に時間が過ぎて行けば、この物語は単なる「猫好きの女性監督と、祖父程に年の離れたホームレスの画家の交流」で終わったでしょう。ところが舞台は2001年のニューヨーク。9月に同時多発テロが起こります。辺りが粉塵とガスで息もできないほど。路上で寝るなどとてもではないができません。そしてハッテンドーフは言うのです「うちへ来ない?」と。

ここで「普通できることではないな」と思いました。いや、もちろんこれは実話ですが。幾ら交流があったとはいえ、血縁関係も何もない他人のホームレスを、自宅に連れ帰って面倒を見る、なんてできる人がどれくらいいるでしょうか。
ハッテンドーフはミリキタニを自宅に連れて帰り、二人は一緒に生活を始めます。ミリキタニはひたすら絵を描き、外に出た時に「イラクに原爆を投下しろ」と書かれた落書きを見て「バカども。原爆のことを何もわかっとらん。みんな灰になるんだぞ」と吐き捨てるように呟きます。この言葉がとても重かった。

ハッテンドーフはミリキタニを自宅に連れ帰り、一緒に暮らし始めます。彼女はアメリカの社会支援団体に電話をかけ、彼を支援できるところがないか探します。ミリキタニは「余計なことはするな」の一点張り。彼は収容所に入れられた時、アメリカの市民権を捨てる書類にサインさせられていました。自分はもうアメリカ国民ではない、従ってこの国のものなどいらない、という姿勢を貫こうとします。はっきり言って、頑固ジジイです。今じゃ日本では絶滅しかけていますが、こんなところに生息していたのです(おい)
頑固ジジイのミリキタニは、ハッテンドーフが深夜近くに帰宅してくると「若い娘がこんな時間まで出歩くものじゃない」と説教を始めます。まるで父親です。ハッテンドーフはさらっと受け流し、猫に話すふりをしながら自分の考えを述べます。会話をする二人は、まるで祖父と孫のようでした。

ある日新聞に、ジャニス・ミリキタニという女性の記事が載ります。詩人だというその女性は、第二次世界大戦の時に日系人が収容所に収容されたことを引き合いに出し、今度はアラブ人がバッシングを受けるのではないかと懸念していました。ハッテンドーフはその記事をミリキタニに見せると、「珍しい苗字だから親戚かもしれん。調べてくれんか」と頼まれます。連絡を取ったところ、従兄弟の娘であることが判明しました。

この作品には多くの小さな奇跡が登場します。そもそもハッテンドーフがとミリキタニが出会っていなかったら、そしてハッテンドーフが映像を録ることを思いつかなかったら、もし911が起きなければ、どれが欠けても成立しえない物語でした。そしてミリキタニはハッテンドーフの地道な努力のおかげで、自分の市民権が既に回復していたことを知り(アメリカのお役所仕事って杜撰なのかなあ)、年金を貰えるようにもなります。生き別れになった姉が生きていることも判明し、再会も適いました。

真面目な題材ではあるのですが、映画自体は決して暗いものではありません。ミリキタニは頑固ですが、同時にお茶目なジジイでもあり、かなり見ていると笑ってしまうシーンがあります。また、最初から最後まで彼を支え続けたハッテンドーフ監督の暖かい視線が、存分に感じられる作品にも仕上がっていました。

公開は9月とまだ先ですが、一人でも多くの人に見てほしい作品です。ただちょっと引っかかったのが、字幕の読みにくさです。背景とかぶってしまって読みづらい箇所がたくさんありました。そもそも、ミリキタニの英語はかなりブロークンで聞きづらいらしく、彼の台詞だけ英語字幕が入る為、日本語の字幕は全部横に出るのです。これが一層読みにくくしているような気もします。本公開までに、何とかしてほしいです。

試写会の後で、ハッテンドーフ監督本人の舞台挨拶がありました。監督はミリキタニと一緒に、八月六日の広島の平和式典にも参加したのだそうです(その際の様子は公式サイトに載っています)ミリキタニ氏本人も登場し、一曲歌ってくれましたが、何の歌だか私にはわかりませんでした(汗)
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映画「夕凪の街 桜の国」 幸せの桜並木

夕凪の街桜の国
夕凪の街桜の国
こうの 史代

「夕凪の街 桜の国」を見に行って来ました。見たのはもう少し前ですが、レビューを書くのが原爆記念日(長崎の方とはいえ)ということに気づいてちょっと愕然としたり。

私の父は北九州の出身です。今から六十二年前の今日という日がもし晴れていれば、原爆は父の実家のある北九州市に投下され、私は存在しないか、被爆三世になっていたかもしれません。そのことを思うと、複雑な気持ちになります。

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オペラ映画「魔笛」

モーツァルト 歌劇《魔笛》全曲
モーツァルト 歌劇《魔笛》全曲
(↑は原典のオペラ「魔笛」のDVDです)

テアトルタイムズスクエアまで、「魔笛」を見に行って来ました。

行ってみて驚いたのですが、かなり混んでいました。ネット上ではどちらかというと酷評の方が多く、話題になっているようには見えなかったので、さほど混んではいないだろうと思っていたのでちょっと驚きました。しかし、なんであんなに人がいたのかなあ……タイムズスクエアでやっていた「魔笛フェア」目当てとも思えないし。

内容の方は「これもまあ、アリかな」という感じでした。そんなにひどくはなかったです。まあ正直言っちゃいますと、舞台を第一次世界大戦にする意味が今一つ見えなかったというか……。この設定はあまり生きていないように感じられました。後、舞台を第一次世界大戦にしてしまった為に、衣装が面白みのないものになってしまったのもやや残念でした。魔笛は題材故か、衣装が舞台ごとにかなり変わっていて、それをチェックするのも楽しみの一つなので。

後はネックというほどでもないのですが、夜の女王とパミーナに外見上の差があまり無いように見えました。なんというか、親子に見えない……それと言っちゃいけないような気がしますが、夜の女王の方が美人だったような。
オペラは声でキャストを決める為、仕方ないような気もします。が、映画はしょっちゅうアップになるので、老けメイクをさせるとか、もう少し工夫がほしかったです。

魔笛のシナリオがグダグダなのは元からなので、それに関しては突っ込んではいけないでしょう。むしろ映画は多少わかりやすくなるよう、工夫したところも見受けられました。タミーノがザラストロの神殿で魔笛を吹くシーンの演出(笛を吹くことによって、沈んでいた人達を浮き立たせる。それによりザラストロが彼の人柄を認める)は良かったと思います。また、パパゲーノがパパゲーナに一目ぼれして探している、という改変は、彼に羽根が生えていない以上あってよかったかな、と。老婆の姿をしている理由がわからなくなりましたが。
モノスタトス関連の黒人差別に繋がりそうな台詞はほぼカットされてましたが、これは現代でやる以上仕方がないでしょうね。メトロポリタン公演では黒人ですらなくなってたし。

その他、個人的に受けたところとしては、ザラストロ役のルネ・パーペがとてもかっこよかったのと(メトロポリタン公演では今一かっこよく見えなかったのですが、今回はとてもかっこよかった)パパゲーノが最初に歌うシーンの「つがいの鳥」の部分で、ペアのコザクラが映ったことです。おまけに片方がうちの子と近い羽色ときたもんだ。

まああそういうわけで、私は結構見ていて楽しめました。他の人はどうだか知りませんが。

魔笛フェア開催中、ということでレストラン街で魔笛をイメージしたメニューを出していたのですが、どれもこれもかなり高くて、お財布に余裕のある人でないと厳しいだろうなあ、という感じでした。でも折角なので、アイスクリームを食べて帰ってきました。なかなか美味しかったです。

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ドキュメンタリー映画「エマニュエルの贈りもの」

「エマニュエルの贈りもの」を見に行って来ました。

これは、西アフリカのガーナに生まれた、一人の障害者の青年を題材にしたドキュメンタリー映画です。ガーナでは障害を持って生まれるのは神罰だと考えられていました。エマニュエルの片足は生まれつき発育不良で(どこかの骨が足りないみたい……成長しないようです。病名も出てきましたが詳しくないのでよくわかりませんでした)動きませんでした。彼の父は彼が障害者だとわかると、蒸発しました(ここで「ヒッドイ親父」と思う私。いや確かにいますけどこういう人)残された母親は、祖母や姉妹の助けを借りながら彼を育てました。「障害を恥じるな」と教えながら。そして物乞いにはやらず、小学校に通わせました。
……凄いお母さんです。画面に映るエマニュエルはとてもいい顔をしているのですが、彼がこんな風に育ったのは、この母親あってこそだと思いました。

エマニュエルのお母さんは野菜を売って、日に一ドルの収入を得ています。エマニュエルは子供の頃から靴みがきのバイトをして、家計を助けていました。学校ではいじめにもあったようですが、はねかえすだけの強さを持っていました。

やがて彼の母親が病気で亡くなり、エマニュエルは首都に働きに出ます。靴屋の仕事は日収2ドル。ある日彼はアメリカの障害者アスリート財団に手紙を出し、ガーナ一周の旅に出るための自転車がほしいと頼みます。彼の頼みはアスリート財団の人々を驚かせました。そんなことを頼んだ人は、今までにいなかったからです。
自転車を手に入れ、エマニュエルはガーナ一周の旅に出ます。目的は自分の可能性を見せる為。背中に「POZO(障害者の意)」と書かれたゼッケンを着けて、彼は左足だけでペダルを踏み、ガーナ一周を成し遂げました。ガーナのラジオ局が彼のことを取材し、彼は一躍人気者になりました。

彼がガーナ一周を成し遂げたことを聞くと、アメリカの障害者アスリート財団が彼に興味を持ち、アメリカに呼び寄せます。彼はアメリカで障害者自転車レースに出場し、財団の人々を驚かせました。また、ジム・マクラーレンやルディ・ガルシア・トロソンといった障害者アスリートとも親しくなります。財団はエマニュエルに義足を贈り、そのおかげで彼は水泳やランニングもこなせるようになり、アメリカでトライアスロンの大会に出ます。
一方、エマニュエルの行動がガーナの障害者達に影響を及ぼしました。彼のようにスポーツをやりたいと考える人達がでてきたのです。財団には、エマニュエルのものと同じような頼みが届いていました。エマニュエルは彼らの助けになるべく、ガーナに戻ります。財団から贈られた車椅子を持って。
エマニュエルの帰還にガーナは沸きかえり、彼も懐かしい人々との再会を喜びます。驚いたことに、彼を恥と思って捨てた父親も会いに来ていました(ここで見ていて唖然とした私。よく会いに戻って来れたもんだなあ……お母さんの方が生きていたら、きっと元夫に何か言ってくれただろうに)

エマニュエルはガーナに障害者の為の基金を設立し、障害者スポーツが学校教育などの活動を続けているそうです。そして政府にも働きかけ、ガーナに障害者法を制定させるまでに至りました。
彼の活動は、今も続いています。2008年の北京パラリンピックには、ガーナ代表チームを出場させたいそうです。


とてもいい映画でしたが、館内は悲しいぐらいガラガラでした……。公開も東京(既に終了)と愛知のみのようです。最近は実はいい映画ほど、人が入らないんじゃないでしょうか。
この映画を見ていて、子供の頃に見た「典子は、今」という映画を思い出しました。サリドマイドで生まれながらに両腕が無かった典子さんを撮った映画です。最近になってあの映画が公開された後、彼女のもとに中傷などが殺到したと聞いて悲しくなりました。日本はずっと昔から、実は病んでいたのではないでしょうか。


ここのところちょっと精神的にへこんでいたのですが、映画を見てちょっと元気になれた気がします。


ガーナチョコレート
↑映画館で買ったガーナチョコレート。買うと100円の寄付がガーナに送られるのだそうです。

ブラウニー
↑それで焼いたブラウニー。
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映画「あるスキャンダルの覚え書き」

あるスキャンダルの覚え書き
あるスキャンダルの覚え書き
ゾーイ・ヘラー

原作は未読です。なかなか興味を惹かれる題材だったので見に行って来ました。
メアリー・ケイ・ルトーノー事件を題材にしたと言われていますが、実際のところはヒント程度のようですね。さすがに13歳の生徒と……というわけにはできなかったようで、生徒は15歳になってます。そういうところでは実在の事件の方がスキャンダラス。

感想としては、とにかくデンチが怖かった。半年ぐらい前に見に行った「ヘンダーソン夫人の贈り物」では、とても茶目っ気のある可愛い役どころだったわけですが、今回はイッちゃったストーカーを好演。どちらも過不足なく演じられるのはさすがの貫禄です。
シーバ役のブランシェットも、「この人、どこかオツムのネジが緩んでるんじゃない?」と思える役をやはり好演。映画の中でいいなと思ったのが、ブランシェットの衣装の着方です。どこか微妙にだらしないんというか、崩れた感じがするんですよね。それがまた、ふらふらと考えなしにやっちゃうキャラクターを表していました。
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映画「クィーン」 理不尽

The Queen [Music from the Motion Picture]
The Queen [Music from the Motion Picture]
Alexandre Desplat,Giuseppe Verdi,Alexandre Desplat,Alison Stephens,London Symphony Orchestra,David Arch,Lynne Dawson

「別れた悪妻が死んだ。葬儀に行くべきだと思うかね?」

これは、海外ドラマ「CIA:ザ・エージェンシー」の初回にて、技術部の主任であるジョシュアが、新入りのテリに尋ねる質問です。テリは行きたいのなら行ってあげたら、といいますが、ジョシュアは別れた妻は筋金入りの悪妻だった、ひどい女だと繰り返します。

「クィーン」を見ていて、私はこのシーンを思い出しました。果たして別れた夫や妻が死んだ時、葬儀に行くべきなのでしょうか? 例えばですよ、森伸一が突然ぽっくりあの世に行ってしまった場合、森昌子が「もうあの人とは別れたから他人です。葬儀には行きません」と言ったとしたら?

私だったら彼女がそう言ったとしても、とがめる気は起きないですね。

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